パッキング・・・
テント山行のみなさんが増えてきました。ところが・・、パックが必要以上に大きくなってしまったり、しっかりパッキングすれば、大き過ぎるパックじゃなくても詰まるのに・・という傾向も比例してきました。テントのしっかりした設営の仕方もあいまいかもしれません。ということで、随時、テント設営、パッキング講習をしちゃおかなあ・・と思いました。
ご希望のみなさんは、講習希望日、時間をご連絡ください。店前の駐車場にて行います。営業日、営業時間内です。テントの設営講習に関しましては、お買い上げのお客さまに限らせていただきます。
講習ご希望のみなさんは鈴木宛にお願いいたします。

初めに紹介するパッキングは、2泊3日で、剣岳のバリエーションルート、源次郎尾根または八つ峰上半から本峰といったルートでの山行装備です。

Ⅰ.パック
      
パックはブラックダイアモンド社のミッション45、55を使い分けています。とてもシンプルで、ほぼ規格どおおり、(マチを使うと+約10リットル位)許容します。171cm身長の僕は、パックが下に下がるのが嫌なので背面サイズはSサイズを選んでいます。
劔岳へは45リットルを使います。
     
パックの中は、まず装備が濡れないように、またテント内でも個人装備がバラバラにならないようまとめるためにインナーパックを使います。大きさは30Lで十分です。シュラフ、防寒着、着換えを濡らさなければいいので、その備品なら30Lで十分です。
  
テント山行にはパックカバーは携帯し、雨日には積極的に使うべきですね。中身を濡らさないためでもありますが、パック自体をテント内に入れなきゃいけないので、パックの濡れを少なくするためにも。
    
Ⅱ.靴
スカルパ社のリベレHDです。テストも兼ねています。日本向けにワイドバージョンが入荷されています。
        

Ⅲ.生活具
2人のチーム装備として、テントは相棒の持分です。エアライズ3型を2人で贅沢な空間で使っています。お客さんとの山行は、当然僕の持分です。


1.ツエルトが僕の持分です。一般的にテントを持ってツエルトは不要なのですが、剣沢にはいってからの行動日は、テントは剣沢に張りっぱなしでアタックに行く定着型なので、今回は持ち物です。ツエルトは危急時の簡易シェルターです。夏は雷に出くわす確立が高くなります。雷は通り過ぎて行くことが一般的なので、近いときはツエルトの中で待機しましょうね。シェルターにするためには張り綱が必要です。山行前に張るべき個所には細引きを張れる長さでセットしておくと現場で早く設営できます。
   
        
収納パックです。ツエルトにも収納袋が付いていますが、とても小さくて、山中で使って、さっさと収納したいのに使い物になりまん。

2.マット
まあ、一般的に120cmの長さがあれば十分ですね。足元はパックを敷きます。マットの収納も、ツエルトと同様5Lのスタッフバックを使います。


3.シュラフ
夏山の場合ならダウン量250g~300gくらいで十分快適に過ごせます。少しでもコンパクト化するなら180gもいいかもしれませんね。僕は通常山行時は、250g。日帰り山行でビバークの可能性がある時は、備品として180gを携帯します。シュラフカバーと重さ、かさともにほぼ同等で、保温性は数段上ですからね。
  
        
収納は少し楕円タイプのスタッフバックを使います。5Lです。

4.クッカー&コンロヘッド&ライター
最近はガスコンロのヘッドも軽量コンパクトなので、チーム装備というより個人装備です。1泊2日ならガスカートリッジは1人1ヶあれば十分ですね。チタンクッカーです。定着登山じゃない長期の縦走は、熱効率のいいジェットボイルのSEMOです。
  
     
             
コンロヘッドとライターはケース(袋)に入れてクッカーに収納します。

5.水筒(この水筒今となっては骨董品ですね、今はプラティパスの1Lボトルです)。
この環境での行動用には1リットルですね。生活用タンクとして2.5リットル容器も必要ですね。行動時間と補給場所によっては1Lボトルを2本用意です。あくまで炊事用のボトルとは分けています。
  

6.食料
主食は軽量化(どれだけ軽くなるの?)です。剣沢は水が豊富なので僕たちは生米持参します。夕食も材料から作りますよ!
  

Ⅳ.登攀具
1.ロープ
2人のチーム装備としてロープは相棒の持分です。
この岩稜では、8.5mm1/2の50mロープをシングルで使います。ロープの持ち運びはループではなく、このようにスタッフバックに末端から順々に押し込んでいきます。使うときにキンク(捩れ)が少なくスムーズに出ることがいいですね。
  
       
収納時もこの方が隙間がなくコンパクトにまとまります。

2.ハーネス・カラビナ・スリング・グローブ
グローブは革製のメトリウス社のビレイグローブです。クライミングでロープを扱うときはもちろんですが、登山道でもガラ場やブッシュをつかまなくてはならないときに素手では切り傷、すり傷になりやすいですね。鎖をつかむときも滑らないのが利点です。ハーネスは、DMM社のスーパー・クーロアール・プロです。
  
       

3.アイゼン
とうとうアルミ製のアイゼンに手を出して2年が過ぎました・・・・。まあ、せっかく多品種にしてくれてるわけですから。使い分けが楽しいですね。しかし、夏の硬い雪渓には、少々重くてもクロモリのアイゼンがいいですね!
  
       

4.ヘルメット
ヘルメットは落石から頭を守る!装備ですね。クライミングという行為ばかりではなく、岩稜帯を登山する場合はかぶることをおすすめします。これはパッキングというか、ブラブラしないように工夫してパックに外付けですね。
      

Ⅴ.行動着・雨具・防寒具・着替え
1.行動着としてのジャケットです。
早朝行動時や稜線での強風時にはシャツ1枚というわけにはいきませんね。一般的には雨具のジャケットを併用されていることが多いようです。こちらのジャケットは雨具のように防水のバリアーは使われていないので、蒸れないし、表面は強い撥水処理がされているので、稜線上でのガス(霧)の水蒸気くらいは水滴となって処理します。ストレッチ性もあるので動きやすさも利点ですね。
 
       
たった3Lの収納パックに納まります。

アプローチは天気がよければTシャツです。メリノウールです。
       

2.雨具
この環境での登山には、軽量・薄型素材のレインは使いません。平均的な50デニールナイロンをベースにゴアテックスの3層レインです。レインキャップ、レイングローブを一緒に収納しています。
  
        

3.防寒具
防寒具は停滞時の防寒が主な活躍です。目的地に着いてからの生活には欠かせないですね。幕営地の剣沢は日照時間が長くないので、地熱が低いようで、標高こそ2500mくらいですが陽が翳ると寒~い。危急時にビバークともなれば必需品ですね。
  
        

4.着替え
雨で湿気ると・・・、山小屋生活なら乾燥室であっという間に乾燥ですけどね。それもさりとて、汗で臭くなった?のをそのままってのも・・・・。パンツは筋肉サポートタイツとは違いますけど、身体にピタッに近い、ファイントラック社のフラッドラッシュタイツ。行動前から雨日では、このパンツに雨具。長時間雨行動は、この方が動き易い
 
シャツは基本的にメリノウール。濡れても冷たさを感じないし、汗でも臭い匂いも少ない。
  
        
シャツとパンツを合わせて収納。

Ⅵ.その他だけど大事な装備
救急パック(怪我等の応急的処置)は2人のチーム装備として相棒の持分です。
     
救急パックの中身はこちらを参照してください。

1.ヘッドランプ
早朝行動(朝3時出発)を通常にしてればヘッドランプは必需品ですね。複雑な登山道地形をしっかり照らしてもらうためには明るさは大事です。ペツル社のミオRXPです。
  

2.ロールペーパー、予備電池、予備ライター、固形燃料を一緒に収納しています。
  

3.ニット帽・ウール手袋・タオル・サングラス
  
ニット帽は、稜線ばかりではなく風が強い環境下には必要ですね。日除けのためのつばがある帽子は飛んでちゃいますね。飛んでかないように帽子止めはダメですか?って言いっこなしですよ!帽子は飛んでいかないかもしれないけど、頭には定着しないならかぶらなくてもいっしょですね!。手袋はウールの薄手です。
  
地形図です。剣岳周辺は1/25000図ですと何枚も合わせないといけないので使いにくい。そこで電子国土からコピーです。縮図も中高年でも見やすいように。コピーは濡れると滲んで役立たずになるので、ビニールに入れます。
これらの装備は、いつでもとっさに出したいので、パックのレインフラップの収納スペースにパッキングします。
       
          
レインフラップに収納するときは、レインフラップは直接雨が当たるので、2重収納にします。

みなさんの感想は
装備を一品づつスタッフバックに詰めていることが、ぼた餅だったようです。「やっぱりパッキングの上手さが違うね。なんかベテランの登山者の人は背負ってるザックを見ればわかるもんね。ピシと決められてるから・・・」。
まあ、結果はそうなのでしょうけど、上手くパッキングするためには、1.段取り、パッキングしやすいように仕分けが大切なんです。パッキングが2.のことなら、まず1.のことをしっかりやらないと!
次は3泊~5泊で縦走をするときの装備です。
パックは同じブラックダイアモンド社のミッションの55Lを使います。備品は同じですが、食料、燃料が増えます。無理やり押し込むと夏は食品が痛むのでちょっと大きくしています。上記のような登攀具はありません。ヘルメットも穂高連峰の縦走路なら携帯をしますが、それ以外の山域での携帯は基本的にしません!確かに、ちょっとしたミスが拡大していく環境は日本アルプスには無限にあるでしょう。でも一般縦走路で、その対処をことごとく想定して備品を携帯したら装備が無限大になってしまいますし、登山の本質も失いがちになってしまいます。ロープも携帯しません。落ちないよう、ミスが拡大しないよう「ちゃんと歩く!」歩けるようトレーニングしてから出かけることが大切です! また、過労にならないようなプランニングを徹底することも大切ですね。

パックの他に、定着型の登山と変えているのは、
登山靴
    
縦走にはもってこいの機能を備えているスポルティバ社のカラコルムHC。とにかく下りに支持力たっぷり。とっても安心してどんどん下れます。

生活具、4.クッカー&コンロヘッドを、ジョットボイル社のSUMOにしている点です。
        
稜線上のテント指定地には、天然水の補給ができず、山小屋さんが大切にされている貯水を分けてもらいます。そのため、なるべく水をたくさん使わなくてもいい食材、レトルトやドライフーズが食糧プランになります。基本的に「湯」をつくれば食べることができるメニューですね。そんな食プランには、早く、効率よく「湯」がつくれる、このジェットボイルですね。3泊4日ならボンベは1本で十分です。もちろん予備として1本は携帯です。1.3リットル容器です。朝食はパスタ1人100g、3人分がしっかりゆだる大きさです。パスタ、とてもいいエネルゲンです。
         
食器ですが、最近はこれです。携帯にかさばらなくていいですね。
     

生活具
1.ツエルト
縦走登山時は、テントを持参しているので、基本的に携帯しません(山小屋利用は携帯です)。

とにかく、山で行きあう(縦走路)みなさんたちのパックの大きいこと!そりゃ、日本海から全山縦走の日程ならともかく、ほとんどが2泊3日クラス、それくらいの日程で現在の装備なら
       
大きくてもこのクラス(55リッター)に納めてすっきり、シンプルなスタイルで登山しましょう。僕は1泊2日山行なら45リットルを使っています。最近は45リットルを使うことが増えてきました・・。
段取り
登山メーカーが作ってるテントには必要最低限のペグが入っています。ところが、日本アルプスの2500m以上のテント指定地のほとんどはペグが差し込めない!ですね。何で止めるかというと、周りに点在してる「石」ですね。テントの四角に付いているペグ止めスリングだけでは石で止めれません。
    
ということで、このスリングに細引き約1mを付けましょう。そうすることで、ガッチリ石に固定できます。雪上での設営では、支点を雪中に埋めるので必須ですね。山行前の準備、「段取り」です。
    
フライシートのショックコードにも。フライシートの固定にはショックコードが付いています。風雨時の生地への衝撃吸収です。このショックコード、直接固定するのではなく、補助ロープを還して固定します。衝撃も、張り調整も、より完璧になります。これらは登山技術の中でも生活技術です。楽しい登山を完成するには、ちゃんと生活しないと・・・。
    
テントのパッキング

僕が使ってるアライテント社のエアライズ3型、商品として出荷されているパッケージは一番下の写真です。すごくコンパクトに収納されています。実際に使ってるスタイルは、ブルーの10リットルスタッフバックに本体、5リットルスタッフバックにフライシートと分けています。かさの違いは大きいのですが、重さはかわりません。パッキング時に、パックにしっかり力を込めて詰めれば結果は同じです。ところが、山中で設営したテントを撤収してパッキングする際、最初からコンパクトにしないと収納できない大きさの袋に詰めるのは手間がかかります。特に風の強い日や、雨の中の撤収で、飛ばされないようにするためには、フライシート、テント本体をたたみながら収納なんてやっちゃいられません。このように、大き目のスタッフバックに「押し詰め込む」手段です。狭いテント内で、自分のシュラフを詰める行為と同じですね。山行前の準備で、これも段取りですね。