すーさんの独り言・秋山/冬山編

 

登山計画書
これを提出したからと言って、遭難防止対策になるわけではありませんが、登山者の常識?とでもしときましょう。
家族・職場・所属団体には、何時、何処に、誰と、どのような日程で行うのか、の概要提供、警察には、もし、事故(病気等を含む)が起こった場合は救助に向かう先の情報、行方不明になった際の捜索のための情報提供といったところでしょうか?
では、登山者自身にはどうでしょう? 事務処理的なことばかりではなく、計画を立て、計画書を作る過程において、環境的危険は、何処に、どのようなことが存在するのか?行程は体力・技量に適正なのか?食糧の量・装備は適正なのか?といったことを、事前に見出せる機会が設けられることで、事故の予防に役立つことだと思います。理屈はともかくプランニングって「あ~でもない、こ~でもない」言いながら立てる。これも登山の楽しさのひとつです。
計画書の提出先は、1.家族・職場、2.所属山岳団体がある場合はその団体、3.山行地域の警察というのが一般です。警察への計画書の提出先は、山行をする県の警察本部のホームページから提出先・形式を検索してみてください。ちなみに長野県の山域はこちら、富山県はこちら、岐阜県はこちら、山梨県はこちら。計画書の提出は、僕たちはメールで送っています。できることなら、下山報告もしましょう。
遭難救助の現場からの情報からは、救助依頼は、計画書も提出していない、山岳会等に所属していない登山者が圧倒的に多いそうです。災害救助と違って、自主行為に対する救助です。常識?を守って、見放されられないようにしましょうね。

高層天気図
気球に無線機付き測器を上空に飛ばし、上空の気象状態を観測した結果を使用して描き、上空の風に流される様子を捉えることでその地点の風向、風力を観測したものが、高層天気図です。これに対し、地表(海面)付近の気象状況を表したものが地上天気図です。
 高層天気図と地上天気図の大きな違いは、地上天気図ではその地点の気圧を表記し同じ気圧の地点を結んだ等圧線が書かれますが、高層天気図では同じ気圧の高度を記述し、同じ高度を持つ地点を結んだ等高度線が書かれています。  一般的には850hPa・700hPa、500hPa・300hPa、など決まった気圧の天気図が作成されています。

850hPa : 対流層下層を代表する層で、地上の摩擦力などの影響がなくなる高さで、主に前線の解析や、相当温位から暖気移流、寒気移流などが解析されています。この高さの気温が-6℃以下の場合冬に雪が降る目安といわれています。海抜高度では約1300~1600m付近(気温、湿度、地上気圧、重力加速度等によって変動はありますが)に相当します。

700hPa : この層では、上昇流を解析しています。上昇流が強ければ対流が強いということで、対流雲の発生と悪天候が予想されます。また、気温から露点温度を引いた湿数が3℃以下の地域は雲が発生している可能性が高く、雲の位置がおおよそ解析できます。海抜高度では約2700m~3100m付近に相当します。

500hPa : 中層を代表する層で、高層気象図の代表格です。主に中層の移流や気圧の谷、峰を解析し、また寒冷渦(寒冷低気圧、切り離し低気圧、)などの存在を解析しています。寒気については、冬にマイナス36℃以下の場合大雪になる可能性が多く、天気予報でよく耳にする「上空5000m付近には寒気が入って」、「この冬一番の寒気」と呼ばれるのは、ほとんどがこのマイナス36℃の等温線が日本列島にかかったときなどに報道されます。海抜高度では約4900~5700m付近に相当します。

300hPa :  上層を代表する層で、ジェット気流を解析しています。海抜高度では約8500~10000m付近に相当します。日本の登山をする場合、必要な情報ではないと思います。
ということで、これをもとに週間天気支援図が作られています。専門気象情報「地球気」は、解説がされていますのでためになります。

スカルパ社
マンタテック&マンタテックウーマンズGTX
       
       
冬季登山入門をカバーする保温材(インサレーション)入りウィンター入門ブーツです。2000m付近から未満の雪山フィールドに最適な新製品です。ゆったりとしたラストが足先の冷たさを軽減するので、快適な冬山入門登山が楽しめると思います。セミワンタッチクランポンは対応します。
¥50,600 (税込)

ブラックダイアモンド社
ミッション55/75
      
アルパインクライミングやバリエーションルート向きに作られた、とってもすっきりとした丈夫でスマートでシンプルなパックです。クライミング向きに作られたパックですが、日本の複雑な地形の登山道を登山するのに、邪魔をしないパックです。登山のスタイルに合わせて大きさを選択できます。また背面サイズも2サイズ用意されいるので身体により適正なサイズをアドヴァイスさせていただいています。
55/¥34,980(税込)
旧デザイン75/¥30,360(税込)
50%OFF➡¥15,180(税込)  
アライテント社
グランクロワール・スパイダロン®55L+10L
        
とってもシンプルで、背負いやすくしっかり表示容量分パッキングができます。スタンダートでバランスの良いアルパインパックです。「グランクロワール」には体格に合わせて背面長が48cm、42cmの2サイズ用意されています。42cmは女性にもバランスよく背負えますね。無雪期テント泊山行4泊、5泊?くらいまで使えますね。1週間行けるかな?
¥30,240(税込)
上記のパックで事足りなければ
アライテント社
マカル―80
       
80リットルの大型パックです。余計なもの?は何も付いていません。現代風の立体裁断も施されていません。シンプル・スマート、で表示容積通り収納できます。狭いテント内や雪洞でも、平たく足元に敷けるので、全然邪魔になりませんね。学生山岳部は絶対にコレ!あっ、社会人山岳会も!かな?
¥26,400(税込)

冬用シュラフ
イスカ社
エアプラス630
     
イスカ社のシュラフがマイナーチェンジされました。台形ボックス構造に独特のショルダーウォーマー、ドラフトチューブを装備しています。首から胸にかけて縦に配置したセパレートボックスにより保温性を高めています。平均的な冬山登山での設営標高は2000m~2500mでの短期登山形態ですね。そこでの生活と、パックに詰めて持ち運ぶことを考えるとこのクラスが許容でしょうか。
¥58,300(税込)
冬用シュラフ
イスカ社
エアプラス810
     
イスカ社のシュラフがマイナーチェンジされました。台形ボックス構造に独特のショルダーウォーマー、ドラフトチューブを装備しています。首から胸にかけて縦に配置したセパレートボックスにより保温性を高めています。快適性と持ち運ぶかさを許容できるなら、こちらが快適でおすすめです。
¥69,300(税込)

マット
サーマレスト社
プロライト+
     
自動膨張式マットレスの中では断熱性が高いモデルです。空気を均一に含み、軽量でコンパクトに収納できるアトモスフォームを使用。これを斜めに肉抜きするダイアゴナリーダイカットで、断熱性を損なうことなくさらに重量を軽くしています。万一フィールドでパンクした場合も、最低限のクッション性と断熱性を維持できることがいいですね。軽さとコンパクトな収納性を両立し、なおかつトラブルにも強いのもいいですね。僕も愛用しています。女性用モデルは、冷えを感じやすい背中や足元の肉抜きを少なくし、コンパクトな収納性はそのままに断熱性をアップしているので、女性に限らず男性のみなさんにもおすすめですかね。幅は同じですが長さが168㎝だけなので、一般的に使われている120㎝のプロライトよりかさばりはします。
プロライト120/¥13,200(税込)
プロライト・ウーマン168/¥15,400(税込)

ローバー社
アルパイン/エクスパートGT
     
     
こちらはレディースカラーです。
厳冬期の雪山に対応するべくLOWAの機能が凝縮されたレザーブーツです。Gore-TexとPrimaloftR400を組み合わせることで圧倒的な保温性を実現しています。また、特別設計のシャンクを採用し、ソール部分の厚みを抑えることで軽量化を図りました。一般的日本アルプス3,000m級、厳冬/積雪期対応の登山靴です。
¥75,900(税込)
ローバー社
マウンテンエクスパート GT EVO 
     
こちらは、足首周りの柔軟性に富んで、2000m付近の雪山や、日本アルプスでも短期の冬山のエントリーモデルです。プリマロフト保温材を使ったやや軽量のブーツです。
¥56,100(税込)50%OFF¥28,050(税込)9.5サイズのみ

スカルパ社
モンブランプロGTX
     
コストパフォーマンスの高い、スカルパ社の冬山定番モデル・モンブランGTXに、レベルシリーズで培った最新デザインを採用した進化モデル。中綿にはゴアテックスインサレーティッド、カフの上部にはゲイターを装備。積雪の浅いアプローチで雪の浸入を防ぐ機能がいいですね。日本アルプスの一般的な冬山登山におすすめです。
¥75,900 (税込)
スカルパ社
モンブランGTX
     
アッパーにはワンピースレザーを使用し、保温材を入れた冬季ブーツです。快適性重視で、プロと比較すると、ややゆったりとしたラストと、フレキシブルな足首のデザインにより、リラックスした履き心地と、靴との一体感のある歩行性能を同時に実現しています。
¥69,300 (税込)

ケイランド社
スーパーアイスGTX
     
輸入元があっちこっち変わって、定番で扱いたくないメーカーの代表でしたが、マジックマウンテン社が、しっかり覚悟を決めて扱います!とのことでこの秋冬から採用してみました。プリマロフト保温材を使った、一般的日本アルプス3,000m級、厳冬/積雪期対応の登山靴です。2,000m未満の低山でも豪雪エリアや緯度が北よりの山々にも十分対応です。
¥57,200(税込)50%OFF➡¥28,600(税込)26/27.5サイズ

ボリエール社
ジーワン ライト
     
中綿に3レイヤー・シンサレート断熱素材を使った保温性たっぷりのインナーを使った2重靴です。足首屈曲部には切り替えを追加し、歩行性能が向上しました。4日以上の長期?日本アルプスの厳冬期から積雪期登山におすすめです。
¥104,390(税込)30%OFF➡¥73,000(税込)UK7,8,9サイズのみ

スポルティバ社
NEPAL EVO GTX
        
シンサレート断熱素材を使った、うちの定番だったネパールエクストリームは生産が中止になってしまい、スポルティバ社の定番?ネパールエヴォGTXです。3mm 厚レザーをアッパーに使用し、ゴアテックス・インシュレーテッドコンフォート仕様で防水性と保温性をそれなりに確保。3Dフレックスシステムは足首の可動域を広く、しなやかにとっているので、歩行時の安定性がいいですね。日本アルプスの一般的な冬山登山におすすめです。
¥73,980(税込)30%OFF➡¥51,730(税込)42サイズのみ
スポルティバ社
G5
       
日本アルプスの厳しい厳冬期登山にも耐えれる特化したマテリアルと技術を結集し、最小限の動作でシューズの着脱操作を可能にしたテクニカルなダブルブーツです。 手袋を着用したままでも、素早い着脱とフィット感の調整ができるBOAフィットシステムをブーツ本体に採用。 防水性とストレッチ性を兼ね備えたヒートシールジッパー付きコーデュラRゲイターが、ふくらはぎから足先全体をカバーします。
¥91,800(税込)30%OFF➡¥64,260(税込)42サイズのみ

CAMP社
Geko ICE
       
手のひら部分はグリップと柔軟性そして耐久性のある素材を使い、断熱効果と保温性にはプリマロフト素材を使っています。はめてみたらいい感じだったので採用してみました。グリップを主に使うアイスクライミングや山岳スキーにおすすめです。
¥16,200(税込)

クランポン
   
ペツル社、グリベル社、ブラックダイアモンド社、カンプ社のクライミング用から、山岳スキー用まで豊富です。ご使用の靴をお持ちになってフィッテイングを確認しましょう。
マウンテンアックス
ペツル社、グリベル社、ブラックダイアモンド社、DMM社の登山用のアックスが入荷しました。
        

「手が冷たくなりますねえ」
シビアなクライミングをしない限り、アプローチのグローブの他には、まず、ウール手袋とオーバーグローブを持ちましょう。きっと一番備品としてコンパクトにまとまり、暖かさの維持も一番?です。
こちらはオルトボックス社ベルヒテスグラブ。比較的しっかり目の詰まったウールグラブです。

     
アプローチでも、ラッセルを強要されるような場合は、雪が中に入らないようこのオーバーグローブを付けます。一般的には、標高が森林限界を超え、風が直接吹き付けるような環境下や風雪環境下でウールグラブの上に装着します。
厳冬・積雪期での登山手袋はこの基本が用意されていれば大丈夫でしょう。一番シンプルで持ち物も最小限で済みます。基本ベースのウールグラブは1日1双を基準にして、山行日数分用意していきたいですね。
素手では・・・
     
ワカンの点検、「こら、素手とは何事か!手袋はめて両足5分以内に装着しね~か!」と山岳部の学生。できるまで何度も反復してやる!これ、訓練ですね。雪山に入っていく前に大事なことです。

テートンブロス社
TB Alpine Jacket
       
細身のアルパインフィットを採用。NeoShell とPower Shield Proをマッピングする事でよりアクティブな稼働域と通気性を確保しました。細身のシルエットは厳しい条件下で視界の確保を容易にします。立体裁断とストレッチする素材の使用により様々なムーブを妨げることがありません。オリジナルのTB Jacket で培ったノウハウをアルパイン用にモデファイした新しい製品です。と宣伝です。ポーラテック社NeoShell は、?の防水能力的にはゴアテックスと比べると劣勢ですが、雪には大丈夫ですね。柔らかさと透湿性が優れていて、僕もツルギジャケットを愛用しています。
¥49,680(税込)50%OFF¥24,840(税込)
TB Alpine Pant
   
上半身部分はALPHA とPower Stretch Hardface を使用し動き易さと保温性、通気性を実現。シンプルな外見ながら、立体裁断により脚部の可動範囲をカバーするカッティングがなされ、各部の機能は厳冬期における度重なるテストから絞り込まれた機能を有しています。やっと登山に使える裾幅のパンツが出来上がってきました。これならじゃまにならない!上半身部分は、積雪期の後半や残雪期にはファスナーで取り外せるのもいいですよ!
¥62,640(税込)50%OFF¥31,4320(税込)

外着・着こなし
           
せっかくの機能をもった外着(ハードシェル)を着ていても、「寒~」。ってことも、これ自体には保温機能の中綿は入っていないので当然といえば当然ですが・・。「寒~」の要因が、冷たい空気がウエアーの中を対流してるとしたら、それは着こなしですね。強風雪の環境では、ファスナーは写真の如く、トップまでしっかり閉めて、上部からの寒気の流入を防いでくださいね。もちろん中着も同様にですよ!単純なことですが、ジップアップすると着心地が悪くなるので、ついつい保温より、着心地を優先してしまいがちです。冷たい空気は上部の隙間から下に向かって入りやすく、対流するので寒さも増幅します。肌と下着、下着と中間着、中間着と外着、それぞれ繊維の間に広い?空間をつくらないよう、できる限りのピタ着が保温の理想ですね。

レインジャケットとの違い
           
こちらはレイン・ジャケットです。外見的には、雨が水滴となって流れ落ちやすいように、生地が1枚の面でのっぺり作られます。生地の厚さは写真ではわかりませんが、まず蒸れにくい様に薄手で作られます。生地の番手で表すとレイン・ジャケットは平均的に15~30デニール(1デニールは9000mのナイロンの重さを表しています、20デニールは9000mで20gのナイロン生地という表示です。と言われても・・・?)です。
           
こちらは雪(冬)用の外着(ハードシェル)です。こちらの生地は平均的に40~50デニールで、レインジャケットと比較すると約2倍と厚手です。この厚みが、冷たい風雪を通しにくいよう身体を守っているわけです。レイン・ジャケットが1枚の生地で平面的に作られているのに対して、雪(冬)用の外着(ハードシェル)は2枚の生地で立体的に作られています。色の濃い部分は雪の結晶の摩れに対応するために厚手で、ストレッチ性をもっています。フロントジッパーの上部の立ちもレイン・ジャケットに比べると、顔を深く覆えるように高くなっています。どちらのジャケットも、ゴアテックス・プロシェルというバリアーを使っていますので、防水性は同等です。
           
雪(冬)用の外着(ハードシェル)は、脇の部分に、蒸気がさらに抜けやすいようにベンチレーション・ファスナーが付いています。冬の場合は外気温と、衣服内温の差が大きくなるので、結露が生じやすくなるのを緩和しています。
            
レイン・ジャケットの袖の部分は、手袋のレイヤードをしないので、マジックのベルクロが付いていませんが、スノー・ジャケットは手袋のレイヤードをしたときにも、厚みの対応と、雪がジャケットの中に入りにくいようにマジックのベルクロを付けて調整が可能にしています。
           
パンツも
            
レイン・パンツは、ジャケットと同様1枚ののっぺりとした薄手のナイロン生地で作られています。
            
雪(冬)用外着パンツ(ハードシェル)、こちらは「ビブ」といって、サロペット型パンツです。サロペット型にしているのは、深い雪と戦っても、身体の中に雪が入りにくくしているのと、風と雪を伴った冷たい空気が、中で対流しないための考慮です。さらにハーネスを付けた時も、腰部分が干渉しないことも意図です。ジャケット同様に生地も厚手で、立体的に作られています。裾幅もレイン・パンツよりやや広めです。
  
裾処理は、レイン・パンツは裾を絞れるドローコードだけです。雪(冬)用は雪がブーツの中に入らないように、おおよそのモデルにパウダー・スパッツが付いています。 
冬だから必ず「スノー」規格を使うべき?
日本の冬は、緯度の高低、標高の高低によって風土が異なります。着るものばかりではなく、装備は、どの風土で使うのが適正か。ということが商品名になるとわかりやすいでしょうね。こちらの「冬(雪)」規格のものは、標高が2500m以上の日本アルプスの極寒地帯や、標高は低くても緯度の高い豪雪地域には必需品です。しかし、太平洋側の都心部に近い、標高2000m未満の「雪」の風土が少ない冬なら、肌に近いところから保温をしていれば、「レイン」で十分でしょう。しかし、冬は濡れたら乾かない!、湿気っても乾きにくいので、それを防ぐには、ゴアテックス防水バリヤーの「レイン」だけは守りましょうね。

ウェアーの体感/その1
下着編
             
       下着は肌にフィットしていて効果です。裁断スタイルをよく確認してみましょう。
最も人間の肌に近い所で、大切な役割をする「下着」の僕の体感から伝えてみます。寒~い日に、下着の体感チェックをしてみしました。みなさんも簡単にできるので試みてください。陽の当たらない外気温0~5℃(まだまだこんな気温にはなりませんが、太平洋岸の僕達の環境では、真冬でもこのあたりの温度でしか体験できません)のところへ、ポリエステル系、ウール系の下着(上)を2種類を30分位ハンガーにかけて放置してみます。寒気にさらしていた下着をパッと着た時、どちらの素材が暖かく感じるでしょう?ウールは冷たさをさほど感じずに暖かくなってきますが、ポリエステル系は冷たさを感じながら、暖かくなってくるまでに時間がかかります。言い換えれば、外からの寒気もポリエステルは伝わりやすいし、ウールは伝わりにくいということでしょう(寒気にさらしていた30分間で、ウールよりポリエステルの方が冷たくなったということです)。細かい数値的データーではありませんが、人が身近なところでできる体感です。外気温が低く、降雪・強風が予測される環境でのフィールドワークでは、肌に一番近い下着の素材はウールが正解!?と感じたチェックでした。ただ、単純に速乾性のテストをしてみれば、ポリエステルの方が乾きやすいことは事実です。ところが、冬のシーズンのフィールドでは、日射・気温ともに低いため、速乾するための環境要素は低いといえます。したがって、乾きが悪くて、多少湿っていても大丈夫な繊維(ウール)にも注目してくださいね。同様なことが手袋でも体感できます。濡れているポリエステルの手袋と、ウールの手袋なら、冷た~いのはポリエステル!とはいうものの、ポリエステル系がいけないわけではありませんよ!あくまで外気温が低く、降雪・強風環境下での行動の話!遊びに出る環境の判断はみなさん自身で!
ハイブリッド素材
僕はどちらかというと「ウール」素材派です(冬山合宿出発時に名古屋駅で服装点検されて、毛のパンツはいてなくて帰されたことありました)が、最近ポリエステル系素材が進歩してきて、さらに快適に使えることも体感してきました。一般的なポリエステルは吸湿拡散性は低いと思いますが、糸の構造によって吸汗拡散が優れたものがあります。ファイントラック社から発売されているメリノスピンはその典型ともいえます。ライト、サーモを状況に応じて使い分けていますが、すごく快適です。ライトは吸汗拡散が高いですし、サーモはライトに比べると吸汗拡散性はやや劣りますが、保温性は数段上です。最近はソフト・シェルのように保温性のある外着も出てきましたし、防水・透湿性も向上しているハードシェル外着を考えると、機能性向上したポリエステルとウールのハイブリッド素材は快適かなあと思うようにもなりました。
ウェアーの体感/その2
中間着編
            
「中間着」っておかしな表現ですね。だって、外着を着ること前提でじゃないと、中間になりませんものね。変な屁理屈を言ってしまいましたが、一般的にはそれを前提としているウェアーを総称して「中間着」と呼びます。条件が整って穏やかな冬日や、登山環境の中でもアプローチに該当するようなところでは、中間着だけで行動することが可能ですから、結果的に外着になってしまいます。この中間着、素材!繊維の厚さ!色!形!と多種です。形的には、ジップアップと称せられている、ファスナーが半分まで付いていて、被って着るニットタイプ。しっかりとした襟とボタンが付いて、羽織って着るシャツカラーの2タイプ。素材的には下着同様、ウール、ポリエステルの2素材といっていいでしょう。中間着である以上、重ね着が前提なので動きを考えた場合、外着と干渉しないような表面素材(一般的にフリースと呼ばれているような、起毛している表面は干渉して動きにくくなる)であること、ストレッチ性をもっていることがポイントです。また、外着ばかりではなく、下着との重ね着もされていますので、動くためのストレッチ性は最も大切な要素でしょう。下着と外着の真ん中に挟まれてたいへんな働きをしてる「中間着」さん達です。僕は、下着を着ずに、直接中間着を着ることもあります。この場合の素材はウール素材がいいでしょうね、冬のポリエステル系の中間着は起毛されているものが多く、汗ばんだ時に吸湿・拡散せず、体表面に水滴が溜まり、溜まった水滴が冷やされて体温低下を促進することもあるので、直接肌に着るのは避けたほうがいいでしょう。
中間着/パンツ(タイツ?)
             
パンツも外着を履くことを前提に伝えたいと思います。登山用のパンツは一般的にスラックス系が多く販売されています。そのスラックス、吸湿・速乾・ストレッチ性で「動き易すさ」が特徴です。しかし、裁断は身体にフィットタイプではなく、やや太めの裁断が多いようです。本来なら、ストレッチ性をもっているから、身体にピッタリフィットしていても動き易くしてるわけですが、外観にも趣きをおいているメーカーさんも、選択するみなさんにとっても中々タイツのような身体にピタッという外観のものは・・・といったところが現実のようです。ところが、冬を迎えると、3000mの日本アルプスはもちろんのこと、標高こそ1000m~2000m未満でも、緯度が高い地方ではそれなりの寒気・積雪となります。このような環境になると、スラックスそのものが外着となって行動すると、雪まみれになってしまうことが多々生じます。そこで、外着(ハード・シェルパンツ)との重ね着(レイヤード)が必須となってくるわけですが、雪山の場合はラッセル時に雪との抵抗で脚の疲労を促進させてしまいますので、中身のパンツが身体とジャストフィットに近くないと、身体と繊維が一体となって連動しにくくなり、疲労も促進されてしまいがちです。実践的には、保温性もあり、動き易くて、外着とも干渉しにくい形として作られたストレッチタイツです。外見上はあまりにボディフィットで作られているため、ちょっとその姿で公共交通機関の場に出るのは・・・。といったところでしょうが、機能的にはこれにつきます。
ウェアーの体感/その3 
外着・ソフトシェル編
            
ソフトシェルという外着の基本的な製作上のタクティクスは、「防風」と「撥水」で、中には「保温」も含まれているものもあります。しかし、「防水」は考えていないため、天候の安定性が読めない長期や、短期でも1日中降風雪の中を継続するフィールドワークには不向きかもしれません。基本的には環境に合わせて着る行動着でしょうね。好天時や、降雪は微量で風だけがある条件のフィールドワークにはシンプルで着やすいウェアーです。「防風」には、もともと風を通しにくいポリエステル系生地の素材の表面に超撥水加工をしたり、裏地にゴアウィンドストッパーを代表的に、さまざまな素材をラミネート(張り付け)したりしています。「保温」には裏地にマイクロフリース等の起毛処理をしたりしています。ソフトシェルはこのように防風と保温性を考慮して作られているため、中間着にさほど保温を求める必要はないと思います。従って重ね着(、レイヤード)は、肌に直接着ても汗処理が行なえる中間着のアイテム、あるいは、中間着にもなりそうな下着のアイテムとの2層の重ね着(2レイヤー)が理想じゃないかな。下着は環境によって異なりますので、これというピンポイントはありませんが、僕の場合は、メリノウールの薄手、中厚を使い分けています。特にジップアップ(襟付き)がいいと思います。ハードシェルを使うことが前提として作られている、保温性の高いミッドレイヤー(中間着)とレイヤード(重ね着)すると、ソフトシェルの裏地の起毛と干渉して動きづらくなります。このソフトシェル普段着でもイケてる?こともあって人気です。最近は冬季でも短期登山が主流です。この場合だと、このソフトシェルを常時行動着として着用し、降雪の対処のために、冬型ハードシェルではなく、夏型ハードシェルのレインウェアーの中でも15~30デニールクラスの薄手、あるいは2層のコンパクト機能を謳っているゴアテックスパックライトの携帯・着用が実践的でしょうか・・・?
ウェアーの体感/その3 
外着・ソフトシェル・パンツ編
            
僕たちのフィールドウェアーに仲間がひとつ加わって4年が過ぎ、僕もソフトシェルパンツは2本目となりました。十分な撥水性をもっていて、裾にはミニゲーター付きで、ストレッチ性をもっているこのパンツは、スキー、日帰りや1泊2日クラスのバックカントリーやスノーシュートレッキングにはとてもいいパンツだと思います。それ以上の日程で山奥深いところへの行為は、雪と風の戦いが長くなるので下記のハードシェルを使うべきですね。このようなソフトシェル・パンツの中には、下着ですね。僕たちは、メリノウール素材で7分丈を使っています。 
ウェアーの体感/その5
外着・ハードシェル/ジャケット&パンツ編

            
ソフトシェルに対して、ハードシェルという外着の基本的な製作上のタクティクスは、「全天候対応」で、その主は冷たい風雪から中着を守る「防水」と「防風」です。もちろん結露を防ぐ「透湿性」もそのひとつです。標高2500m以上の高山や、低山でも緯度の高い豪雪・寒冷地帯の登山には、欠かせない基本外着です。現在はナイロン素材にゴアテックスを防水バリアーフィルムとしてラミネート(張り付け)しているものがほとんどです。ゴアテックスを使っているものには、ナイロン生地にゴアのフィルムを貼り付けてフィルム保護にメッシュ等を縫製によって裏地を付けている2層製法の2レイヤーのものと、ナイロン生地にゴアのフィルムとフィルム保護の裏地を一体的に貼り付けている3層製法の3レイヤーの2タイプがあります。防水レベルはほぼ同等(表のナイロンの生地番手や撥水加工によって多少異なります)ではないでしょうか。透湿性では、2レイヤーの方が勝っているような気がします。長期登山のように、これを着て運動時間長い行為には、3レイヤーが中着との干渉も少なく、動きやすさの点では勝ります。着心地は2レイヤーのほうが柔らかいので、スキーや、短期のバックカントリーには向いているかも・・・。ところが、昨今の2レイヤーは、軽量コンパクトを意図として裏地を無くしてるものが多く、基本的には厳冬・積雪期向きではないと思います。これから冬のフィールドに出る予定のあるみなさんで、この全天候対応型のウェアーをお持ちでない方は、まず、このハードシェルから選びましょう。「間違いない!」
さて、このハードシェル、素材的なばらつきはあまりありませんが、中身の構成でパウダースカートというものが付いているもの(言葉ではわかりにくいかもしれません、現物を見て理解してください)とそうでないものがあります。バックカントリーのみなさんは付きのものがいいでしょう。登山者のみなさんでハーネスを頻繁に使う場合は、付きでないものの方がシンプルだと思います。
パンツも同様な構造で作られています。スタイル的にはサロペット・パンツ型で作られている「ビブ」と、一般的な「パンツ」の2種類ですが、冷たい空気の対流を少しでも防いだり、あまりありえる事ではないと思いますが、雪の進入をガードするにはビブがいいでしょうね。
            
ウェアーの体感/その6
防寒具編
            
防寒具は、冷たい気温を防ぐことが働きで、下着も、中間着も、外着もみんな防寒具の仲間ですね。しかし、これらは行動中を考慮にいれて常時着て動きますから防寒「着」です。しかし、行動の休息時や、行動を終えてからの停滞時は、風を伴った外気温の寒さはそのまま受けてしまいます。そんな時に寒さから身体を守るのがここでの防寒着です。常時着て動かないから防寒「具」です。
行動用の防寒着の順番が下着から外着(ソフト・ハードシェル)に対して、停滞防寒着はダウンジャケットが代表です。保温力は中身のダウンの質(復元力を示すフィルパワー)、量が基本ですが、1.の下着から、4、の外着までが万全であれば、ダウンインナーとして発売されているコンパクトなもので十分でしょう。最近はハーフスリーブ(半袖)なども商品化されコンパクト性をさらに強調しています。ベストに比べると脇の部分からの寒気の流動が防げるのでおすすめです。登山に関する書物には「防寒具」の携帯を忘れずに!と書かれています。冬でない季節では「いざというときのため」という意もありますが、冬は「いざという時というより停滞時は常時着用しますから『必需品』です。防寒具=ダウンジャケットです!といってもいいでしょうね。