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ブーツ&シューズ
足の概念について
「甲高・幅広」が、日本人の足の代名詞のようにいわれていますが、実際にお客様の足を測ってみると、さほどではないように感じます。日本人は「甲高・幅広」の靴を好む!のではないでしょうか。何を基準に「甲高・幅広」というのか?、よく目にする2E・3Eというのは何を基準にしているのか?は、具体例を示しながらお店でご説明させていただくことにして、まず計測器を使って、正しい測り方で測ってみましょう。「えっ!ほんと?」というケースは以外に多いのです。現在の靴流通では、足の幅が細い方たちの方が、合う靴と出会える確率が少ないくらい、楽に履ける幅広靴が出回っています。「幅広靴を履いて楽だから自分の足は幅広だ」。という固定概念は選択基準を狂わせてしまうことにも・・・・ということで、是非正確な計測をおすすめします。お店はスーパーフィート社とニューバランス社の計測器を使っています。
靴のサイズ選択について
これも正しいことかどうかわかりませんが、僕たちが感じたことを参考にしてください。サイズ表示と実際の履いた感じがメーカーによってさまざまなことは、すでにご承知だと思います。では実際にお店で選択判断ができる基準を参考までに。お店のスタッフと情報交換しながら、できる限り素足に近い状態で実測値を測り、そのデーターから表示サイズの靴のインソールを出して踵をインソールのヒールカップに合わせて乗せます。そして指先とインソールの先端までのゆとり(平均約10ミリ未満)を確認します。これがみなさんが目で確認できるひとつのサイズ適正基準です。そして、ソックスを履いて、確認したサイズに足入れをします。この際ソックスは重ね履きをせず1枚使用が基本です。靴紐をしっかり締め、足指(特に親指)の上下運動がスムーズに行えるかどうかを感じ取り(この段階で小さいと感じたらもちろんサイズアップします)、実際に歩いてみます。これはみなさんが足で感じる基準です。どれくらいの時間はいてればよいかは定義づけられませんので、みなさんが「これでよし」と決断できる時間が正解でしょう。個人の感覚的なもので普遍的ですが、靴に足入れをして、すぐにキツイと判断されるお客様があまりに多いのが残念です。キツサなのか?フィットなのか?の判断は経験的要素によるものが大きく、「実際に山を歩いてみなければわからない」ことですが、その違いの体験は種類豊富なお店で「履き比べ」という行為である程度経験することができます。軽登山靴でも(登山靴になればなおさら)ウォーキングシューズやみなさんが普段日常で履かれているリラックスした靴と比べると全体的に固めです。履き慣れないことで、足のアタリ、圧迫が気になることもありますが、少しづつ慣らしていけばきっと馴染むはずです。。この手の靴に負けるほど、人の足は弱くありませんよ!大き過ぎるサイズの靴は、履いたときは楽な気がしますが、歩行バランスや効率を悪くしていることも事実です。
下の表は、スカルパ社・スポルティバ社・ハンワグ社・ローバ社のヨーロッパサイズ表示を参考までにcmに換算したものです。ハンワグ・ローバ社の換算表は同社のカタログ上の換算表とは異なっています。こちらはうちのスタッフが約実足で測った換算表です。
スカルパ社
表示サイズ
36 37 38 39 40 41 42 43 44 45
cm換算 23.1 23.7 24.3 24.9 25.5 26.1 26.7 27.3 27.9 28.5
スポルティバ社
表示サイズ
36 37 38 39 40 41 42 43 44 45
23.0 23.5 24.0 24.5 25.0 25.5 26.0 26.5 27.0 27.5
ハンワグ・ローバ社
共通表示サイズ
3.5 4.5 5.5 6.5 7.5 8.5
cm換算 22.5 23.0 23.5 24.0 24.5 25.0 25.5 26.0 26.5 27.0 27.5
9.5
28.0 28.5
ソックスについて
ソックスは重ね履きをせず1枚が基本です。重ね履きは、足型を大きく変化させてしまうことと、靴の中で、繊維同士のズレ、足の蒸れが生じやすく、マメや靴擦れを作る要因のひとつだからです。登山経験経験から「いや!重ね履きの方が・・・」というご意見もありましょうが、『基本』ということで!
ソックスの厚みですが、登山靴には「厚手」。軽登山靴には「厚手もしくは中厚」が適しています。厚さの意図は、靴の硬さから足の保護、長時間不整地を歩くことから足の保護です。保温の為だけの厚みではありません。素材は速乾性にとポリエステル素材が主流のようですが、メリノウール素材が吸湿性を含めた総合機能としてはいいと思います。高山の積雪期登山の方は、保温のために厚手のメリノウール素材が鉄則だと思います。寒いから重ね履きをしたことで、逆に圧迫感で血流を悪くして冷たくて凍傷なんて例も・・・・。
ブリッチデイル社のソックスは厚みのバリエーションもさりとて、サイズ裁断も細かく、フィット性も重んじたいいソックスです。

ちょっと参考までにデーターを
僕たちスタッフはブリッジデイル社のAT BOOTというソックスを使っています。そのソックスを履いて足のサイズを測ると、素足で計った時比べて、1mmほど(長く)しか変わりません。ということは、厚いソックスを履くから大きめのサイズという必要性はないということにも・・・。しかし、足の外周(第1中骨から第5中骨)を計ると、素足で計った時より10mmほど(長く)変わりました。お店で登山靴を履かれるお客様が、幅のきつさを訴えられることが多いのも納得できる気がします。で、何が伝えたいかというと、1枚で履いたソックスでさえ10mmも外周が増すのに、厚さにかかわらず、ソックスを重ね履きするとさらに外周(足幅)が増し、きついものを感じ、どんどんサイズ(長さ・幅)ともに大きいものを選択しないといけなくなります。そういう選択がいけないわけではなく、事実を理解してもらうことと、もしそういう選択をして不快な体感をもったみなさんは、原因のひとつとして見直したらどうかな?ということです。
靴の手入れ方
登山靴の手入は、特別な物を用意しなければならないと思ってみえるみなさんが多いようですが、基本的にまず洗うことです。登山道を歩いていて、土・泥が付着しないことはないと思います。付着する量は様々ですが、特に雨天には相当な泥が付着するでしょう。実は、この泥がくせもので、その場で付いているくらいは何の問題も生じません。登山靴ですからね。しかし、それを長い期間(次回の山行まで、2〜3週)放置を繰り返すことで、接着剤や、ソールの中間層を構成しているポリウレタンを破壊し始めます。その結果が、加水分解と言われている『ソールの剥離です』。「革靴は水で洗ってはいけないと思ってました」といわれるお客様も意外に多いのですが、水で洗っていけない登山靴は雨の中は歩いてもいけない靴になってしまいます。とにかくしっかりと土・泥を洗い落としてください。ここまでの作業には水道の蛇口とタワシがあればOK!。洗った後の乾燥ですが、風通しのよいところで、日陰干しが理想でしょうが、僕は日当たりのいいところで、短時間乾燥をしています。普通の洗濯物の干仕方でいいと思います。多少縮みがでることもありますが、履けば元通りになります。その後は、登山靴を構成しているアッパーの素材が、ナイロン系のもの、皮製のものによって保存剤が変わりますが、ナイロン系素材のものは撥水用スプレー等をかけます。僕のおすすめは、ニクワックス社のシューズ用撥水剤(皮製用のものも出ていますので、種類を確認してくださいね)です。革製のものは革の種類にもよりますが、最近はヌバックという裏出し系のものが多いので、それには前者と同じ革専用撥水剤がいいと思います。革の風合いが、変化してしまうことを気にされないなら、栄養・防水系クリームを手塗りすることをおすすめします。僕のおすすめはコロニル社、ビーワックス(栄養系)・スポーツワックス(防水系)です。手入れは、靴の耐久性を高めるばかりでなく、手入れ行為そのものが点検行為として、破損状況の認識になります。針金・細引きを破損の時の為といって用意する心構えがあるのなら、手入れにも意識を・・!危なそうな形状は気がつくと思いますよ。不安な方は、専門店で判断を仰いでくださいね。事後処置より、事前予防です。
ソールの張替えについて
ソールの張替えが出来る靴、出来ない靴があります。その基準は何か?僕たちにもわかりません。最近は、登山靴メーカーがカタログ等に明記しているので、そのことを受け止めるしかありません。ただ、経験の中からアドバイスするなら、靴の土台がしっかりしている(具体的にはアイゼンのワンタッチ式が装着可能)靴は張替えが可能でしょう。しかし、カタログ等にはそうでない通称トレッキングシューズといわれている機種にも「ソールの張替え可」と記されているのもあるのは事実です。確かに形上は可能ですが、張替えをしてから、どれくらい使用できるかというと定義づけられません。土台がしっかりしていないことから、たわみ、捩れが多く現れ、新たな接着剤の力を上回ってしまって、『磨耗』 より先に、張替えまで使用していた期間より早くに、『剥離』 が出でるのが現状のようです。これでは、ソールが磨耗したから張り替えるのに対して、意図が違ってきてしまいます。あっ!そうそう、最近はソールの磨耗による交換より、ソールとの中間素材、ポリウレタンの崩壊による張替えの方が目立ってきています。それだけ、登山者?が山に行かないということですよね。張替えの際は、靴の購入店で、現物の靴を持ってご相談下さい。また、購入の時もソールの磨耗に対して耐久性のある張替えが可能な靴かどうかも確認をしてくださいね。
追伸: ローバ・ハンワグ社の靴の輸入代理店、タカダ貿易の靴のメンテナンスは価格も高いのですが、しっかりしているように思います。ソールの張替え価格はまちまちですが、平均的に¥12000(税・送料込)といったところでしょうか。
アイゼンとの相性
高山の残雪期・積雪期のアイゼンは、前歯のある10本爪以上が環境と行為の安全を考えた場合、言うまでもないことですが、ポイントは装着する登山靴との相性です。土台となる登山靴のソール(底)の硬さが大切で、硬さのチェックは靴を履いて、段差のあるところを利用して、靴の先端2〜3cmだけを使って立ってみます、みなさんの体重位でソールが簡単に折れ曲がってしまうような靴では、その場で仮にアイゼンが付いたとしても、長時間の環境・歩行には耐えられません。ワンタッチケーブル式アイゼンとの相性では特に大切な要素です。外見上で見極めるポイントは、靴の先端と踵にしっかりとした『コバ』があることです。この形状をもった靴が簡単のソールが折れ曲がってしまう可能性は低いと言えます。硬さはもっていても靴底の先端の反りが大きいものや、アイスクライミング系登山靴のようにソールの形状の湾曲が大きいものはアイゼンの相性を確認しましょう。
 批判を得るかもしれませんが、軽アイゼンも本当は爪の数の少ないのを示してるわけでなく、12本爪をアイゼンの定義としたら、それよりちょっと歯の数が少ない10本爪や、素材的にアルミ軽量型だったりするものを示しているのでしょうね。現在軽アイゼンとして紹介されている4本・6本爪は軽アイゼンというより、一時的滑り止めです。一時的環境のみに適正だということを認知してください。雪山シーズンに入って、低山の雪山経験という初心者の方々も、8本爪以上のアイゼンに対して「こんなおおげさな!」という固定概念を捨てて環境と装備の適正!をよく理解してくださいね。本格的冬山登山靴・アイゼンじゃなくて、軽登山靴(といってもナイロン製で手で簡単にソールが曲がったり、捩れたりするトレッキングシューズ系はだめですが)との相性のいい8本・.前歯のない10本爪の軽アイゼンは発売されています。
夏の雪渓アイゼン
夏の雪渓で使うアイゼンの問い合わせの大半は、4本爪を要求されています。雪があるからアイゼンが必要!とは別に、大事なことは、暑さや、雨の中に残っている雪ってコンクリート的硬さです。その硬さに指示できる爪の数はどれくらいかな?と想像してみてください。一般的に登山道としてる白馬大雪渓などは傾斜こそ緩いので、その硬さが歩けないほどではありませんが、靴の踵と、つま先に爪が位置することが大切だと思います。「たいしたところにいかないから」とか、「こんなごつい、重い本格的なものは・・・」と、人間の主観的発想も僕は、人間だから理解しますが、自然界は理解を示してくれません。能書きが長くなりましたが、合理的に安心して使えるアイゼンは、8本爪以上です。日本のカジタックスというメーカーから、夏の雪渓用に8本爪のアイゼンが発売されています。軽登山靴にもしっかり止まります。どうか、自然界を客観的に見る目、心を持って、快適で楽しい登山を完成してください。


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